Googleは10月28日、Webブラウザ「Chrome 142」の安定版をリリースした。Android、ChromeOS、Linux、macOS、Windows向けに提供される。今回のアップデートでは、View Transitions APIの機能拡張やセキュリティ強化など、複数の新機能が追加されている。
View Transitions APIの強化
Chrome 142では、View Transitions APIに関する複数の改善が実施された。新たにdocument.activeViewTransitionプロパティが追加され、開発者はトランジションオブジェクトを保存せずにアクセスできるようになった。トランジションが実行中の場合はオブジェクトが返され、実行されていない場合はnullが返される。
また、CSS側では:target-beforeと:target-afterという新しい疑似クラスが導入された。これらはスクロールマーカーグループ内で、アクティブなマーカーの前後にあるマーカーを選択できる機能だ。
CSSとUIの機能拡張
スタイルコンテナクエリとif()関数に範囲構文のサポートが追加された。これにより、開発者はカスタムプロパティを正確な値の一致だけでなく、比較演算子を使って評価できるようになる。
<select>要素のレンダリングモードについても、モバイルとデスクトップで一貫性が向上した。これまでモバイルでは利用できなかったページ内リストボックス表示が可能になり、size属性やmultiple属性の挙動が統一された。
さらに、<button>と<a>要素にinterestfor属性が追加された。ユーザーが要素に「興味を示した」際の動作を定義でき、ポップオーバーの表示などを実現できる。
セキュリティの強化
Chrome 142では、ローカルネットワークアクセスの制限が導入された。公開Webサイトからユーザーのローカルネットワークへのリクエストは、権限プロンプトによって制御されるようになる。これにより、ルーターなどのローカルネットワークデバイスに対するクロスサイトリクエストフォージェリ攻撃のリスクが軽減される。
その他の主な変更点
WebGPUではprimitive_index機能が追加され、フラグメントシェーダーでプリミティブごとのインデックスが利用可能になった。Web Speech APIには文脈バイアス機能が追加され、音声認識の精度向上が期待できる。
また、同一オリジン間のレンダラー起動ナビゲーションにおいて、ユーザーアクティベーション状態が保持されるようになった。これにより、ページ遷移後も自動フォーカス時の仮想キーボード表示などが可能になる。
画像・ソース:https://developer.chrome.com/release-notes/142?hl=ja