OpenAIが次世代モデル「GPT-5」を正式リリースした。ChatGPTでは新しい既定モデルとして順次有効化され、従来のGPT-4oやo3系は置き換えられる。OpenAIは「GPT-5はChatGPTの新しいデフォルト。必要に応じて自動で推論(Thinking)も使う」と説明しており、Plus/Proなどの有料ユーザーは“GPT-5 Thinking”をモデルピッカーから選べるという。
アプリ側の体験はどう変わるのか。The Vergeは「(一部プランを除き)モデルピッカーが縮小・廃止され、用途に応じて自動で最適構成に切り替わる」と解説する。手動でのモデル選択に慣れていた人には大きな仕様変更だが、一般ユーザーにとっては“考えるべき設定が減る”方向のアップデートになる。
一方で、旧モデルとの“別れ”を惜しむ声も目立つ。コミュニティでは「モデルピッカーからGPT-4.5が消えた」「ラインアップが一気に置き換わった」といった投稿が相次ぎ、スクリーンショットとともに惜別のコメントが並ぶ。こうした声は、4oの会話スタイルやo3のねばり強い推論を評価してきたユーザーの愛着の裏返しでもある。
とはいえ、今回の変更は“完全消滅”とイコールではない。OpenAIのヘルプでは、GPT-5投入に合わせて複数の旧モデルが「ChatGPTではリタイア(提供終了)」になる一方、API側は段階的な非推奨→停止という扱いが基本で、提供チャネルごとにタイムラインが異なる可能性が示唆されている。エンタープライズや開発者の移行猶予を確保する狙いだ。
実用面では、GPT-5の“自動切り替え”が鍵になる。軽い要件は素早く返し、難題では推論を深く回すとされる。有料ユーザーは必要に応じて“GPT-5 Thinking”を明示的に選択できるため、重要な原稿の下書きや検証タスクなどは意図的に“深く考えさせる”運用が安心だ。

今回の刷新は、モデル名を選ぶプロダクトから“成果に最適化された体験”へ舵を切る転換点でもある。モデルの一覧からお気に入りを指名する楽しみは減るかもしれないが、ユーザーがやりたいことに集中できるなら、それは本来あるべき姿だ。旧モデルに別れを告げる投稿がしばらく続く一方で、数週間後には「気づけばGPT-5で済ませていた」という実感が広がっているはずだ。
今回の変更は“モデルに別れを告げる”寂しさと、“設定いらずで強くなる”利便性が同居するアップデートだ。プロダクトが「モデルを意識させない方向」に進むなら、今後は“どのモデルか”より“どう使うか”がますます問われる。まずは日々の作業をいくつかGPT-5に置き換え、体感でメリットを確かめるのが近道だろう。